アスパラギン酸でスタミナアップ

 

 私たちの身体に必要な約20種類のアミノ酸の中で、スタミナ調整をするアスパラギン酸。1世紀以上も前にアスパラガスの汁から発見されたそうです。また、古代ギリシャでは心臓の薬に使われたりもしました。元来「新芽」の意味を表し、古代ローマ時代にイタリアでも薬用、食用に栽培されてきました。

 現在でも、一般に市場に出回る品種改良されたものそれ以外に、野山に繁茂する野生のアスパラガスがあります。2月下旬から3月に近隣の湿地帯へ足を伸ばすと、このひょろりと細身のアスパラガス狩りに勤しむ人があちらこちらで見られます。陽光に刺激され、いにしえの地の養分を吸い上げて、初々しい「新芽」が長く伸びている姿に春の訪れを感じます。栽培収穫されるアスパラガスと違い、極細でくねっているものも多いですが、アスパラ特有の香りとほろ苦さが凝縮されています。冬に溜まった毒素抜き効果も栽培種より勝るのは言うまでもありません。

調理法としては、卵焼きやパスタに加えてシンプルに食べられています。

冬の寒さから衰えた身体をリセットするため、暖かい日差しの下、森林浴をしながら食材を収穫し、おまけに毒素作用まで付いてくるそんな自然の摂理に基づいた健康的な食生活を、たまには真似してみたいものですね。

 今回は、手に入りやすい普通のアスパラガスを使ったプリモピアットです。野生のものを収穫した際にも是非応用してみて下さい。

アスパラガスと海老のファルファッラ ~Farfalle con asparagi e gamberi~

材料:目安4人分

  • アスパラガス 1束(3本は下記のサラダ用に使用します。)
  • 無頭海老 320g、パスタ farfalle 320g、ニンニク 小1片
  • 白ワイン 大さじ1~2、塩・胡椒 適宜、粗塩(Sale grosso) 適宜
  • オリーブオイル(以下EVOと表記) 適宜

*海老の下ごしらえ:殻を剥き背に沿って包丁で切り込みを入れます。背わたを取り除いたらボウルに入れ、片栗粉を小さじ1と水大さじ2を加え、軽く揉みます。汚れがきれいに取り除け、海老のプリプリ感が増します。それを海水ほどの塩水の中でふり洗いし、水気を切っておきます。

作り方:

  1. 大鍋にパスタを茹でる水をたっぷり入れて、火にかけます。
  2. アスパラガスは、根元の白く硬い部分を手でポキポキ折って除きます。根元周りの皮は硬いので、ピーラーで薄く剥くといいでしょう。穂先の部分は、飾り用に縦割りにし、残りを1~2cmの長さに切ります。
  3. パスタの茹で湯が沸騰したら、粗塩を投入しパスタを茹で始めます。茹で時間は、パッケージの表示より1分短くが基本です。同時進行で、フライパンにEVOを大さじ1強とニンニクのみじん切りを入れて、中弱火で温めます。
  4. 香りが立ってきたら、ニンニクは色がつかないうちに器に取り出して、下ごしらえした海老を塩、胡椒して並べていきます。中強火で表と裏を返し、さっと火を通し、白ワインをかけてフランベします。アルコール分を飛ばしたら、海老はニンニクと重ならないように取り出しておきます。次にアスパラガスを加え、海老から出たエキスを絡ませながら弱火で炒めます。フライパンを軽く振り、アスパラガスの表面が満遍なく炒まるようにしたら、パスタの茹で汁をお玉1杯分加えつつ、炒めたニンニクも戻し入れアスパラガスに2~3分火を通します。ここで飾り用の穂先は別に取り出し、他はハンドジューサーなどで粗いクリーム状にします。応用で生クリームを足せば、濃厚な味わいになります。
  5. パスタの茹で上がり時間寸前に、取り出しておいた海老をアスパラガスのフライパンに戻し入れ、再び火を加えてアスパラガスクリームも合わせます。そこへパスタを軽く湯切りして加え、しっかりと和えます。硬さと塩分を茹で汁で調整し、味を見て塩・胡椒で調整します。お皿に盛り付け、EVOを一筋垂らし、アスパラの穂先を海老の横に飾ったら、蝶々が舞う春彩パスタの出来上がりです。

 次はアンティパストにもセコンドにもなるサーモンのカルパッチョです。アスパラガスをリボンのように薄切りにしたシャキッとしたサラダを付け合わせます。

 元はスウェーデン料理ですが、簡単にできるのでイタリアの家庭でもよく食べられます。レモンなどの柑橘系の液体の中で漬け込んだものより臭みが取れて、さっぱりとした日本人好みの調理法です。何より鮮やかな茜色がそのまま残るので、暖かな春をテーブルに運んでくれます。

この料理に使われる香草ディルは、野生のフェンネル(finocchietto)で代用してもいいでしょう。

スェーデン風サーモンカルパッチョとアスパラガスのサラダ 

Gravdlax:carpaccio di salmone con insalatina d'asparagi

 

材料:目安4~8人分

  • ノルウェーサーモン 約700g
  • 調合塩(粗塩 25g、砂糖 45g、ディル(aneto) たっぷり1束、白胡椒 2~3つまみ、あればコリアンダーの種か挽いたもの 一つまみ)
  • 簡単なヘルシーなマスタードドレッシング(マスタード 小さじ1、粒マスタード 小さじ1、蜂蜜 小さじ1~2、ディル みじん切り小さじ1、アップルビネガー(他の酢で代用可)大さじ2、サラダオイル 50cc
  • アスパラガスのサラダ(アスパラガス 3本、人参 小1本、セロリ 1本)

作り方:

  1. サーモンは、とびきり新鮮なものを一度マイナス20℃以下に凍らせて、アニサキスの害のないようにしておきます。
  2. 冷蔵庫内で一昼夜解凍し水気を拭きます。よく合わせた調合塩をガラス容器に⅓敷き詰め、その上にサーモンを置きます。上からも調合塩を満遍なく乗せます。ラップをぴったりかけ、お皿1~2枚の重石をします。容器そのものもラップします。
  3. 一昼夜したら重石は外します。水分が溜まっているので捨てて、また密封状態で冷蔵庫で放置して、2~3日しめます。
  4. 最後に残った塩の塊をキッチンペーパーなどでよく取り除いて、もう一度ディルのみじん切りを表面に散らしてからスライスしていきます。皮を下のまま、身は上の状態で尾っぽの方に向かって削ぐように斜めに包丁を入れていきます。お皿に並べます。(残った分はラップで包み、密封容器でもう2日程保存できます。それ以降は、加熱が必要になります。)
  5. サラダを作ります。アスパラガス、人参、セロリはピーラーなどを使って縦長にスライスして、水にさらします。シャッキっとしたら、水切りをして器に添えます。
  6. ドレッシングを作ります。マスタードと蜂蜜そして塩と胡椒を良く混ぜてから、酢で少しずつ溶いていきます。そこへひとまわりオイルなどの油を少しずつ加えて、乳化するように撹拌します。黄身を加えずマヨネーズ状にしないので、あっさりと添えた野菜の甘みも引き立ちます。

           ~ I piatti sono pronti,buon appetito! ~

                               

                                        

                              《協力:後藤知美さん》