菜の花のオレッキエッテ(耳ぶたのような形状のパスタ)

ORECCHIETTE ALLA CIMA DI RAPA

 

パッと鮮やかな緑とほろ苦さが春の訪れを感じさせる野菜:

古くから歌や文学で春の季語としてあまた登場する菜の花。春野菜としても花蕾から覗く黄色く可憐な姿から、行事食を彩り引っ張りだこになります。さて、ここイタリアにも中部以南でのみ栽培収穫される日本の菜の花の親戚種の野菜があります。地方ごとにCima di Rapa(プーリアやバジリカータ州)、Broccoletti(ラツィオ州)、Friairielli(カンパニア州)、Rapini(トスカーナ州)と呼び名が違い、また、気候条件や栽培時期に合わせて各地方で改良された品種違いのものを含め、出回り始める10月下旬~4月初旬までの季節限定の野菜です。ただ、その調理法は特別なレストランを除いて、いたって地味です。コントルの(付け合わせ野菜)に使われることが常で、花蕾から黄色の花が覗くと苦味が強くなるため緑色の間に調理されます。その外観のせいか影の薄い存在です。お味の方は、アブラナ科に含まれる硫黄がブロッコリーや大根の葉のような香りとも似ており、触感も繊維質がしっかりしていることなど、からし菜(アブラナ科)と共通しています。このアブラナ科の辛み成分のイソチシアン酸塩は、体内の解毒酵素の働きや抗酸化力を高めると言われますが、3日目くらいまでの新芽や花蕾にはより多く含まれているそうです。それをよく擦りつぶしたり、よく噛むことで吸収力がアップします。そんなデトックス効果も期待でき、和の食材として菜の花同様にあらゆる調理法で春メニューに取り入れるのも良いのですが、今回はプーリア州バーリが発祥の地で、日陰の存在から一躍脚光を浴びることになった一品をご紹介します。

材料:2人分

  • ブロッコレッティ(Cima di Rape)   250g(通常の一束の半量が目安)
  • にんにく 1片(みじん切り)
  • アンチョビ 3~4枚
  • 赤唐辛子の小口切り  少量
  • 塩   適宜
  • エキストラヴ・ヴァージン・オリーヴ油(以下EVOと表記)  適宜
  • オレッキエッテ  160g
  • お好みで硬質チーズを添えます。 粉状にして適宜

作り方

  1. 大鍋にパスタ用の水を入れ火にかけます。(パスタ100g:水1ℓ:塩10g=小さじ2)
  2. ブロッコレッティはよく水で洗い、硬い茎は切り落としてしまいます。太い茎の部分は縦の繊維に沿って十文字に切り込みを入れることで、白い芯の部分の火の通りが良くなり甘みも出やすいです。そして茎と葉と花蕾とに分けていきます。出来ることなら手を使って小さめにちぎっていきます。
  3. フライパンにEVOを大さじ1強敷き、にんにくとアンチョビを入れて弱火にかけます。にんにくの香りが立ち、アンチョビの水分がはじけてきたら、強火にし、赤唐辛子と②のブロッコレッティを茎、葉、花蕾の順に入れて油を絡ませるように木べらで上下を返すように大きく混ぜ、ブロッコレッティから水分がでるようであればそのまま1~2分中火にし、炒めます。水分が足りなければ、①のパスタ用の大鍋から湯を大さじ1~2杯分加えます。鮮やかな緑になったところで、(余熱で火が通ることを計算して)一旦火を止めます。
  4. ①の鍋が沸騰したら塩を加え、オレッキエッテを投入します。表示時間(平均6分ほど)通り終始強火で茹で、湯をきり、③へ合わせます。フライパンにもう一度火を加えながらブロッコレッティと絡ませ、火を止め最後に一筋のEVOを垂らし、もうひと混ぜをし器を盛り付けます。
  • このシンプルなピアットに更なる奥行きをもたせる名コンビ、BOTTARGA DI MUGGINE(ボラのからすみ)をすりおろし、トッピングしてみてください。野に咲く菜の花が口中に広がるようです。

  さあ、もう一品粉物と合わせて脇役から主役へとブロッコレッティの花舞台となる一品  です。

菜の花のフォカッチャ

(FOCACCIA CON CIME DI RAPA)

材料:2人分

  • 市販のピッツァ生地  350g
  • ブロッコレッティ(Cima di Rapa)    150g
  • スモークサーモン  80g
  • お好みのチーズ(モッツァレッラ、ストラッキーノなど)  100g
  • レモンの皮のすりおろし
  • あればピンクペッパー  少量
  • EVO  適宜

作り方:

  1. オーヴンは最高温度(250℃以上)で設定し、予熱で温めておく。
  2. ブロッコレッティはよく洗い、一つまみの塩を加えた湯でさっと1分ほど茹でて、祖熱が取れたら食べやすい大きさに切って、EVOを垂らしてしっかり絡めておきます。
  3. 天板にクッキングシートを敷き、ピッツァ生地を広げます。表面にEVOを薄く塗り、②を全体に広げ好みの大きさに切ったスモークサーモンとチーズを並べます。ピンクペッパーとレモンの皮のすりおろしの半量ずつを散らします。EVOを上からもうひと垂らしします。
  4. ③をオーブンで10~15分、焦げ目が付き始めるくらいまで焼きます。最後に残ったピンクペッパーとレモンの皮のすりおろしを散らして出来上がりです。春の景色を先取りするように、ローマの菜の花で食卓を彩らせてみてはいかがですか?

            i piatti sono pronti e buon appettito!

 

                                                                                    《協力:後藤知美さん》