大麦のトマト・ファルシとポテトのオーヴン焼き

Pomodoro ripieno al'orzo con le patate

イタリア料理の洗練された料理術の根源にあるのは、言わずと知れた農村部の日常食にあります。地中海の陽光を浴びた新鮮な野菜や果実、丁寧に収穫される豆類などを様々な穀類と合わせて、その突極なシンプルさの中にも、不変の調和を持つ料理が各地にあります。中でも、穀類の大祖先の大麦やエンマー小麦、古代黒米などは、普段食に食べられている雑穀類ですが、近年のヘルシー志向から都市部での需要が日本と同様、うなぎ登りの勢いが見られています。今回は、イタリアや日本のみならず先進国で人気急上昇のイタリア産の大麦とスペルト小麦を取り上げます。一つ目は、ここローマ地方で初夏にもなると街角のオステリアなどに並ぶポピュラーなお惣菜メニューで、Pomodoro ripieno al riso con le patate(お米のトマト・ファルシとポテトのオーヴン焼き)をヘルシーにal'orzoにアレンジしたものです。酸味の強い柔らかなトマトの果肉と一緒に頬張ると麦粒のプチプチとした食感と相まって爽やかさと軽やかさが後を引く、この季節ならではの一品です。加熱にお米より吸水時間のかかる大麦は、詰める前に八分炊きまでし、家庭用オーヴンでも火通りをよくするため、じゃが芋を軽く下茹でします。

材料:作りやすい分量、目安2~4人分

  • トマト(pomodoro per risoと売られる大きい品種)  4個(約1kg)
  • 精麦した大麦(orzo perlato)  大匙山盛り4杯(70~80g)
  • バジルの葉 一枝分
  • 塩  適宜、お好みで黒コショウも適宜使用
  • エキストラ・ヴァージン・オリーヴ油(以下EVOと表記)  適宜

下準備

  • 大麦は洗って、ざるにあげておきます。
  • じゃが芋は皮をむき、拍子切りにして水にさらしておきます。

作り方:

  1. トマトはヘタを付けたまま上から高さ1、5cm位のところを横に切り、上部を蓋にします。下部は、詰め物をするためスプーンを使って破れないようにくり抜きます。小さめの鍋へ中の身を水分ごと入れます。大きな魂はみじん切りにしておきます。バジルの葉を手で小さくちぎりここへ加えます。(ここまで1-Aとします)くり抜いた後の容器となるトマトは、軽く塩をしておきます。
  2. 1-Aに水を100ccと大麦を加え、蓋をして中火にかけます。沸騰したら弱火にして20分ほど炊きます。時々かき混ぜ、麦が鍋底にくっつかないようにし、また水分が少なすぎるようでしたら少量ずつ水を加えます。芯は残っているが、噛める程度になったら火を止めてそのまま蒸らします。(これをorzottoします。)ここでオーヴンを180℃に予熱します。
  3. 別鍋に湯を沸かし、そこへじゃが芋を入れます。表面が透き通ってくるくらい(約5分)まで茹でて、水切りします。これをオーヴン皿へ敷き詰め軽く塩を振り、EVOをかけたらよく混ぜて全体を絡めます。
  4. 2のorzottoへ大匙1~2のEVOを加えよくかき混ぜ、1のトマト容器へ均等に詰めます。それを3のじゃが芋をかき分け並べヘタ付きの蓋となるトマトの上部を乗せたら、上から塩を軽く振り、EVOを一筋垂らし、オーヴンへ入れて約25~30分間表面にうっすら焦げ目がつくまで焼成して完成です。出来立てを召し上がって頂くのが最上ですが、冷めて冷たくなるとペクチン効果でとろみが付き、別の味わいもあるので気温の高い真夏にはお薦めです。

さて、二つ目も自然そのものの純粋で簡明な味覚を感じさせる穀物です。スペルト・エンマー・一粒小麦を総称した呼び名のFarroは、古代ローマ軍の遠征中には薄焼きのパン状にして携帯され、栄養補給が容易にできた穀物の英雄の様です。今回は、Insalata di farroをご紹介しますが、寒い季節にはミネストラやクリームスープなどと一緒に煮たりして、古くから一年を通して食べられています。では、くにゅくにゅとした蛸とシャキシャキ生野菜とこの穀物のプチッとした食感を楽しめる初夏らしいサラダ感覚の一品です。

蛸入りファッロのサラダ和え

Insalata di farro con polipo

材料:

  • farro   150g
  • 蛸(moscardino)   一匹(約300g)
  • 黄色ピーマン  半個(150g)
  • セロリ   1本(80g)
  • プチトマト 数個
  • レモン絞り汁  ½個分
  • EVO  適宜
  • 塩  適宜
  • オレガノなど  1枝(乾燥なら小さじ½)
  • 蛸を茹でるための香味野菜(人参、玉葱の硬い部分、セロリの葉、パセリの茎など) 適宜
  • 好みのナッツ  20g

作り方:

  1. 大鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩を少々加え、farroを中強火で18~20分程茹でてザルに広げて冷まします。
  2. 別鍋に蛸を茹でるため、ざっくり切った香味野菜と蛸が浸かる程度の水を注ぎ沸騰させます。蛸は吸盤に汚れが多く残っているので、塩を手のひらに掴み汚れと滑りをこそげ落とす様に揉んでよく洗い流します。用意した鍋が沸騰したら、蛸の頭部を掴んで足先を沈ませては引き上げを数度繰り返したら、全体を沈ませ5~10分程八分通り火が通ったところで火を止めそのまま冷まします。冷めて食べやすい大きさに切ったら、EVO、レモン汁、オレガノで和えておきます。
  3. セロリは角切りに、黄色いピーマンの半量を小さめの色紙切りにしてEVOと塩を加えてざっくり合わせます。黄色ピーマンの残り半量は、飾り用に薄くスライスし、トマトは半切りにします。
  4. 1.をボウルに移して2の蛸と3の野菜を順に足しては混ぜ合わせ味を見ます。器に盛ったら、ナッツを散らし野菜を添えて出来上がりです。

           I piatti sono pronti e buon appetito!!

                                                                                         《協力:後藤知美さん》

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