牛肉の赤ワイン(バローロ)煮込み

  ~Bresato al barolo~

 

アルプスの裾野「Ai piedi dei monti」の、ピエモンテ産の食材は、世界中に知れ渡る珠玉の逸品ばかり。渓谷や丘陵地帯でワインの銘柄が醸造され、山羊や羊、牛、野ウサギを飼いながら、酪農家では繊細な酸味のあるチーズの生産をし、低地ではイタリア米の祖国であるvercelli地方を中心に稲作をし、森林からは白トリュフやマロングラッセの栗、ヘーゼルナッツなどが採集され、それらの秀逸を極めた食材は、この土地で愛されてきた調理法に生かされるように改良を重ねてきました。300年以上に渡りフランスと深い繋がりのあったサヴォイア家の宮殿が、この地方に置かれていたので、洗練された食文化が発展していき、食材への探求がなされていったのでしょう。ドルチェ類(サヴォイアルディやチョコレートなど)が、特産なのも宮廷の美食文化の影響といえます。今回は、ピエモンテの至極の赤ワインを使い、年末年始の食卓で贅沢に味わえる一品をご紹介します。必須アミノ酸のスコア100%の牛肉の部位の中から、「Cpello del prete」(日本ではミスジと呼ばれる)肩甲骨の内側の柔らかい肉質の箇所で、脂肪は少ないものの中心を通る筋部は長時間タンニンの強いワインで煮込むとコラーゲン質がくにゅっとした食感となり、この部位特有の肉の甘みと重厚なワインの味わいが合わさって、優美な伝統料理の格を感じさせます。信頼のおける精肉店で上質なものを選ぶことが美味しさの最大の秘訣です。

材料:目安4~6人分

  • Capello del prete(牛肉の魂肉)  約1kg
  • パンチェッタ・ドルチェ 50g
  • 玉葱 中1個(150g)  / 人参 小2本(150g) / セロリ 2本(150g) / にんにく ½片
  • エシャロット(scalogno) 1個(50g)  /  ローズマリー 1枝 / ローリエの葉(alloro) 2枚 / あればフレッシュタイム 1枝 / ジュニパー・ベリー(ginepro) 10粒  / クローヴ(chiodo di garofano) 3粒 / シナモンスティック ⅕片
  • バター 20g  /  塩・黒胡椒 適宜
  • エキストラ・ヴァージン・オリーヴ油(以下EVOと表記) 適宜
  • 赤ワイン(ネッビオーロ種のタンニンの強いタイプ) ボトル1本分

【前日準備】

全体がよく浸かるガラスの容器又はビニール袋を用意し魂肉を入れ、2cm角ほどの大きさにざく切りした香味野菜とにんにく、香草、スパイス類は後で取り出しやすいようにお茶パックに入れるかガーゼなどで包んで入れ、ワインを注ぎます。蓋をするか袋なら口を閉じ、そのまま室温(18℃以下)で12時間漬けこみます。

作り方:

  1. 漬けこんだ肉と野菜類をザルで濾しワイン液は別に取っておき、肉はキッチンペーパーで表面の水分を軽く拭き、塩・胡椒をしっかりめに振ります。すべてが入る大きさのお鍋にEVO大匙2~3杯を入れ、火にかけ温めたらバターも入れ、①のお肉を焦げ目がつくまで肉汁を閉じ込めるように全体を焼き固めます。お肉をひっくり返す時に尖ったもので表面を傷つけないように注意します。
  2. しっかり焼き固めたら5mm幅に切ったパンチェッタと野菜類も入れ、お鍋の空いた隙間で5分ほどまぜながらしっかり炒めます。
  3. ここへワイン液を注ぎます。中火に火を落とし沸騰する手前で弱火にし、灰汁を軽く取った後はとろ火にします。
  4. このまま2、3度肉をひっくり返しながらとろ火のまま蓋をして、2時間半ほど煮込みます。
  5. 火から下し蓋をずらして祖熱がとれるまで放置し、30分程したら肉を取り出してアルミホイルなどに包んで肉の乾燥を防ぎます。煮込んだ液体と野菜類からローリエ、ローズマリーの枝、スパイスの入った袋を取り出しソースを作ります。ミキサーなどですり潰すまたは濾し器を使って丁寧に裏ごししてもいいでしょう。
  6. サーブする寸前にお肉を好みの薄さにスライスし、温めなおしたソースの中で弱火で数分温め、お皿に盛り付けます。このお皿は、ポレンタかポテトピューレを付け合わせにするのが一般的です。写真では、ポレンタと芽キャベツ、トピナンブール(菊芋)、黄色ピーマン、赤スグリを盛り付けています。

次は、地中海沿岸が原産地のポロ葱を使ったクリームスープです。「ビロードのように滑らかな口当たり」と形容したネーミングのVellutataは、フランスのポタージュとよく似ています。12月~3月までが旬で煮ると甘く濃い旨味を持つこの食材には、魚介(エビ、ホタテや白身魚のソテー)、スペックなどの精肉をカリッとさせたものをトッピングしたりと他のメニューに併せ変化を持たせることができます。カリカリにしたクルトン(角切りパン)を散らしても御馳走になります。今回は、ポロ葱の固く濃い緑の上部分と一緒に塩茹でしたマロンとPioppiniというキノコと余ったポロ葱をソテーしたものをトッピングして、ピエモンテを意識したコンビネーションです。クリームのベースを伸ばすのに生クリームを使うとこくが出て、牛乳であっさり水だけでも十分美味しく、シンプルな材料なのにパフォーマンス性の高いピアット(1皿)です。

材料:目安4~6人分

  • ポロ葱 2本(300g)
  • じゃが芋 大1個(250g)
  • 米 大さじ1
  • あれば白ワイン 50ml(なければ水で代用)
  • 水 350ml位
  • 生クリーム およそ200ml
  • バター 15g
  • 塩・胡椒 適宜

作り方:

  1. ポロ葱は根と緑の硬い部分を除いて、ざく切りにします。トッピングに乗せる場合、輪切りにして少量を別にしておきます。じゃが芋は皮を剥き、1,5cm位の角切りにして水にさらしておきます。
  2. 鍋を中弱火にかけ、バターを溶かします。そこへポロ葱を入れて、少ししんなりするまで火を通します。じゃが芋も水切りして米と一緒に加え、始終かき混ぜながら表面が透き通るまで炒めます。
  3. 分量の水とあれば白ワインを加えます。野菜がひたひたにかぶる程度でじっくり火を通していきます。軽く灰汁を取りながら約20~25分間米粒が完全に煮えていれば塩・胡椒をして、味を調えて火を止めます。
  4. ジューサーなどですり潰し、クリーム状にします。(このベースになるポロ葱クリームは冷凍保存もできます。)
  5. サーブする寸前に4.を温めなおし生クリームなどで溶きのばしながら、沸騰直前まで火を加え味を見て塩・胡椒で調整します。器に盛ってお好みのトッピングを乗せたら出来上がりです。

 

        ~ I PIATTI SONO PRONTI E BUON APPETITO! ~

                            BUON NATALE E BUON ANNO 2017

      皆様、今年もメリークリスマスを、そして、良いお年をお迎えください。。

 

                              《協力:後藤知美さん》